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(2024年5月)

中期経営計画概要

1.2023年度中期経営計画の振り返り

2024年3月期計画

金額 売上高比
売上高 24,200百万円 100.0%
営業利益 1,280百万円 5.3%
経常利益 1,250百万円 5.2%
(親会社)当期純利益 930百万円 3.8%

2024年3月期実績

金額 売上高比
売上高 24,494百万円 100.0%
営業利益 1,249百万円 5.1%
経常利益 1,414百万円 5.8%
(親会社)当期純利益 929百万円 3.8%

世界経済は、コロナ禍からの回復が進展する一方で、繰越需要が一巡したことや長期化する高インフレと金融引き締めの影響で成長は鈍化傾向にあり、また、国際情勢が一段と不安定化する中、不透明感が高まっていますが、2023年度は日本セグメント、東アジアセグメントで前年度に受注した大型案件が順調に売上されたこともあり、連結売上高は計画24,200百万円に対して294百万円増の24,494百万円となりました。

日本セグメントは、2022年後半から続く射出成形機の受注低迷の影響を受け、合理化機器の売上は減少しましたが、前年度に受注した電気自動車(EV)向けのLIB関連機器や、大型の材料供給装置の売上により、売上高は計画16,236百万円に対して316百万円増の16,552百万円となりました。

東アジアセグメントは、合理化機器を中心に同業他社との激しい価格競争により受注が伸び悩んだものの、前年度に受注したEV向けのLIB関連機器及びスマホ・VR用レンズ関連機器の売上により、売上高は計画6,888百万円に対して124百万円増の7,012百万円となりました。
東南アジアセグメントは、国によってばらつきがあるものの、景気は概ね回復基調ですが、当社の重点顧客である日系自動車メーカーの設備投資が伸び悩み、コロナ禍以前の水準までに至らず、売上高は計画2,074百万円に対して190百万円減の1,884百万円となりました。
北中米セグメントは、米国内のインフレを背景に当社の重点顧客である日系自動車メーカーの設備投資が予想以上に低迷したこと等で案件獲得に至らず、売上高は計画665百万円に対して398百万円減の267百万円となりました。
損益面については、コスト低減・諸経費の削減を図ってまいりましたが、資源価格の高止まり等による売上総利益の減少をカバーするには至らず、営業利益は計画1,280百万円に対して31百万円減の1,249百万円、営業外収支での為替差益139百万円の計上等により経常利益は計画1,250百万円に対して164百万円増の1,414百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の増加により計画930百万円とほぼ同額の929百万円となりました。

2.2023年度経営戦略の振り返り

(1)新規市場、成長分野における事業展開の強化

  • 次世代技術への対応
    • 固体電池を含む次世代電池技術や新製品開発は順調に推移し、主に自動車業界からの問い合わせやテスト依頼が増加。
    • 自動車業界のCQI-23への対応を推進。
    • 成形工場のIoT化は、引き続き各成形機メーカーと連携して通信規格対応を実施中。
  • 情報収集、市場の調査分析、プロモーション強化の推進
    • 日本ではIPF Japan2023(国際プラスチックフェア)に材料供給装置、温度調節機器、水機器、異物除去装置、インクジェットプリンター等を出展し、「カーボンニュートラル」の達成に向けて、省エネや消費資源の削減、生産効率化などで役立つ各種機器を幅広く展示、紹介。
    • この他、BATTERY JAPAN関西(関西 二次電池展)にはスーパーミキサーを、FOOMA JAPAN2023にはインクジェットプリンターを展示、紹介。
    • 北中米では、9月に米国デトロイトで開催された「電池・EV展」に出展し、小型ミキサーを展示、紹介。
  • 地球環境への負荷軽減に向けた対応推進
    • プラスチック混合技術を活かした、地球環境に優しい新素材や複合素材への対応。
    • 各種工場の環境改善に資する機器(脱臭装置)を開発、販売開始。
    • 米国のTSCA規制に対応した機器の開発。

(2)既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上

  • 製造工場の省エネ、省力化、省スペース化に向けた対応推進
    • 業界最小クラスの省スペースを実現した、熱風乾燥機を販売開始。
    • 各種成形工場内における成形トラブル改善ための異物除去装置を出展、紹介。
    • 動画コンテンツを加えた製品サポートページの充実と、主要機器の納入後定期フォローによるアフターサービス強化。
  • 既存事業の裾野の拡大
    • 株式会社クボタ計装からのカラートロニック事業譲渡を受け、製造、販売、アフターサービス活動を開始。

(3)経営基盤の強化

  • 当社グループの中長期的な成長を視野に入れた、技術・技能の伝承や顧客対応力の強化等、人的資本への投資の一環としてカワタテクニカルセンターを開設。
  • 子会社では、業容拡大(生産性の向上、研究開発、改造改良)と、BCP(災害リスク)の一環として、新本社工場を建設中。
  • グループ間での特許関連やライセンスの契約を積極的に行い、機器や機能の向上を推進。

3.事業環境と基本的な考え方

(1)事業環境

  • 中国の成長力の陰りや、欧米でも金融政策転換まで大幅な景気回復が見込まれないなど、世界経済は当面低成長にとどまることが見込まれ、IMF公表の世界の実質GDPも、2023年に続き2024年も3.1%と緩やかな伸びとなることが予測されている。
  • また、ロシア・ウクライナ、中東、東アジアの情勢や2024年に予定されている主要国での選挙など、地政学的リスクの高まりから、景気の下振れも懸念される。
  • 一方、先進国を中心に生産年齢人口の減少を補うための省人化、省力化に向けた取組みや、生産設備の老朽化に伴う買替需要には期待感があり、中長期的には機器販売並びにサービスが回復するものと思われる。

(2)基本的な考え方

  • 中長期的視点で見ても、プラスチックは世界の人々の生活にとって欠かすことのできない素材であり、今後もさまざまな分野で需要の伸長が期待される。
  • 自動車関連、電子部品関連業界は、裾野も広く今後も伸びが期待できる業界であり、引き続き当社の主力業界として取り組む。特に、自動車の電動化、自動運転化、車体の軽量化、一体成形化(ギガキャスト)等の流れに対しては積極的に技術や資源を投入する。
  • 社会の変化に伴うタブレット、PC、スマホ、VR等の通信機器拡大、AI、IoT、5G等のデジタル化推進の動きに的確に対応する。
  • 地球レベルでの環境問題(脱炭素、使い捨てプラスチックの削減)に対しては、お客様の生産現場や自社の事業活動において、また、お客様が生産する製造物を通じて、社会へ貢献していく。特に、省エネルギー、バイオプラスチック、リサイクルの分野は当社にとってビジネスチャンスになり得ると考える。

4. 2024年度~2026年度中期経営計画

(1)中期経営方針

~世の中から必要とされる「優良企業」を目指す~

「より強靭な事業体の構築」

①ESG経営の強化

  • 環境・社会への貢献
  • 透明性の高い企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実現
  • 全てのステークホルダーへの配慮
    (株主、従業員、販売先、仕入先、金融機関、政府・自治体、地域社会)

②少数精鋭かつ高収益体質の確立(地に足を付けた持続的な成長を図る)

  • 人的資本への投資(人材確保、研修体系の確立と運用)
  • 研究開発、技術力向上のための投資
  • 事業所等の最適配置と更新、能力増強、効率化のための投資
  • 省力化、省人化、システム化の推進
  • 資本効率の向上(適正な棚卸資産の維持と有利子負債の削減)
  • 安定的に当期利益10億円以上、ROE 8%以上の確保により、DOE 2.5%以上

(2)中期経営戦略の骨子

①新規市場、成長分野における事業展開の強化(お客様のニーズや成長分野の拡がり等に対応するための取組み)

  • プラスチック成形関連分野で培った技術、ノウハウを応用して、電池、食品、化粧品等の新規販売分野を開拓・拡大する。特に「混ぜる工程」に焦点を定め、高速混合機単品か、もしくはその前後を含めた「輸送・計量工程」をシステムとして提案する。
  • 高速混合機を軸としたプラスチック以外の業界(食品、新素材)に対しての具体的な用途開発及び人材の確保と育成
  • EV関連業界向けの新たな取組み
    • LIB関連(粉体関連、フィルム関連(材料輸送・供給、温度調節))
    • 一体成形化(ギガキャスト)関連
    • 全固体電池実用化に向け、微粒子コーティング技術の製品化推進

②既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上(既存の市場や分野でのお客様を堅守、拡大のための取組み)

  • 標準機(輸送機、計量混合機、高速混合機、乾燥機、金型温度調節機、チラー、プラスチック粉砕機)の販売拡大を目標とする。特に、省スペース・省エネルギー実現に向けた操作性に優れた新機種開発と既存モデルの改善・改良、サービス対応力の強化により差別化を図り、同業他社からのブランドチェンジを推進する。
  • 省スペース・省エネルギーなどお客様に分かりやすく訴求しやすい提案資料やデータの作成に会社として取り組む。(グループの財産とするための整理)
  • 押出成形分野を始めとするシステム案件への取組みを積極的に推進し、売上高並びに利益の増加を目指す。
  • 先進国を中心とした生産年齢人口の減少に伴い、今後の省人化投資、生産効率化投資へ適切に対応するとともに、ユーザーの既納入機の買替需要を取り込む。

③経営基盤の強化(持続的成長を図るための経営基盤への取組み)

  • 透明性の高い企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実現
  • コンプライアンス意識の徹底による誠実な企業活動
  • リスク管理の取組み強化とBCP対策への取組みの推進
  • 人的資本経営の推進
    • 優秀な人材・適正人員の確保
    • 心理的安全性の確保
    • 育成方針に基づく教育研修制度の充実
    • カワタテクニカルセンターを活用した教育や人材育成
    • ダイバーシティ(多様性)への取組み強化
  • グループの相乗効果(シナジー)の発揮
    • 事業所等の最適配置と再構築
    • 各部門におけるグループ相互の連携強化
    • グローバル人材育成のための制度・運用とグループ間人材交流の強化

④資本収益性を意識した経営の推進

    安定的に当期利益10億円以上、ROE 8%以上を確保することを目標として、収益力向上と資産効率改善の両面からの取組みを進め、資本収益性を高めていく。

  • 収益力向上
    • 上記①新規市場、成長分野における事業展開の強化並びに②既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上の取組みを加速させることによる利益改善の前倒し
    • グループ各社の収益力向上と収益安定化に向けた事業運営面の改革の検討
  • 資産効率改善
    • 売掛債権の回収早期化や大型案件における前受金取引の拡大、在庫の適正化、生産リードタイムの短縮など経常運転資金の圧縮
    • グループ内資金の有効活用なども含め、有利子負債の適正水準を維持

(3)2024年度中期経営目標数値

2024年度 中期経営目標数値

2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
金額 売上高比 金額 売上高比 金額 売上高比
売上高 22,100百万円 100.0% 22,200百万円 100.0% 23,400百万円 100.0%
営業利益 650百万円 2.9% 790百万円 3.6% 1,030百万円 4.4%
経常利益 660百万円 3.0% 780百万円 3.5% 1,020百万円 4.4%
(親会社)当期純利益 400百万円 1.8% 500百万円 2.3% 680百万円 2.9%

売上高、利益目標(2024年5月現在)