背景
多くの樹脂ペレットは、そのポリマー構造や様々な官能基のために大気中の水分を吸収します。水分量が多い状態で成形を行うと、樹脂の種類によって銀条や気泡の発生、加水分解による機械的強度低下など、様々な問題が発生することがあります。
したがって樹脂ペレットの多くは成形前に樹脂の乾燥が必要となるため、乾燥機が用いられます。当社でも脱湿乾燥機DFCシリーズをはじめとする様々な乾燥機を販売しており、樹脂材料メーカーの推奨に基づく各種の乾燥条件に対応しています。
課題
乾燥条件の設定に関わらず、実際の成形現場では、日々適切に乾燥できているかについて成形直前の材料状態を管理することが望まれます。しかし成形品の乾燥具合を調べる方法としては、成形後の製品の品質から間接的に推測することが多くなります。
理想としては、乾燥後のペレットを適時サンプリング、保管しておき、定期的にサンプルペレットの水分値を測定すればトレーサビリティの点で有用です。もしくは成形不良が発生した場合に迅速にラインからペレットを採取し水分値の測定を行うことも考えられますが、これらは以下の理由により難しい場合があります。
・乾燥後のライン上からペレットを簡単に取り出せる部位がない。
・乾燥ホッパ下の材料抜きなどからペレットを採取する場合、ペレットが勢いよく飛び出し、床周りに散乱する。
そこでカワタは、乾燥後のライン上で簡便・迅速にペレットを抜き出す装置として【ペレットサンプリング装置】を開発しました。
本装置の説明・使用手順
本装置は、下の写真のようにカワタの標準的な乾燥ホッパ下部のスライドゲートに後付けで使用します。ここでは採集容器として、一般規格で流通しているガラス瓶(PS-4K)を採用しております。
仕組みとしては非常にシンプルであり、弁体を図左方向に動かすと、乾燥ホッパ中の材料が赤→に沿って動き、採集容器に移動します。
以下、使用手順を紹介します。
①採集容器にペレットが8割ほど溜まるまでスライドゲートを数回開閉する。
②採集容器をサンプリング装置から外す。
③外気の侵入を防ぐため、採集容器に蓋とシールをして保管する。
④次の採集容器をつける。
これで一通りの手順は終了です。
これにより、ペレットの日々の乾燥状態の情報を保管していくことが可能です。
特徴
・一般に流通している規格の瓶を装着することが可能
・既存のカワタ製スライドゲートに後付け可能
・スライドゲートの開閉を容易にする機構を採用
・他の採集容器に合わせた口径の装置も作成可能
最後に
脱湿乾燥機DFCシリーズ(仕込量25~300kg)対応のペレットサンプリング装置の貸出機がございますのでお気軽にご相談ください。